2022.03.11
全難連「ウクライナ、ロシア出身者の迅速な保護等を求める声明 」発表
FRJ加盟団体の全国難民弁護団連絡会議は、2022年3月11日 、「ウクライナ、ロシア出身者の迅速な保護等を求める声明 」を発表しました。
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ウクライナ、ロシア出身者の迅速な保護等を求める声明
2022年3月11日
全国難民弁護団連絡会議
2022年2月24日、ロシアがウクライナに対し軍事侵攻を開始しました。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のまとめによると、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、3月2日時点で100万人以上にのぼります。
また、同日時点で、侵攻後ロシア国内で反戦デモに参加していた6400人以上が逮捕されたと報じられています[1]。
私たちは、ロシア政府に対し、夥しい非人道的結果をもたらす軍事侵攻を即時にやめるよう、強く抗議します。
日本政府は、こうした状況に対し、ウクライナからの退避者については「ウクライナとの連帯をさらに示すべく、第三国に避難した人の受け入れを進める。知人や親族が日本にいる人の受け入れを想定するが、人道的な観点から対応する」とし[2]、ロシア国籍者から政治的意見による迫害を理由に難民申請がなされた場合は、条約難民に当たる者は難民として認定し、かつ、難民条約上は難民と認められなくとも、本国情勢等を踏まえ人道上配慮が必要な場合は日本への在留を認めるとしました[3]。
私たちは、日本政府が、今回の侵攻により深刻な影響を受けている人々に対し速やかに保護する姿勢を示したことを歓迎します。
他方で、このような本国情勢を理由とする措置は、近時、ミャンマーやアフガニスタン出身者に対しても取られていますが、その問題点も明らかになってきています。
「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」[4]においては、6か月という短期間の在留資格しか与えられない場合がほとんどです。また、一定の者[5]に対しては週28時間以内の労働しか認めないなど、不安定な生活を強いられる者が少なくありません。
「本国情勢を踏まえたアフガニスタンの方への対応」[6]においては、就労可能な「特定活動」の在留資格へ変更するためには、帰国費用等を保証する身元保証人を求めるなど、過重な条件が付けられています。また、新たな入国にあたっては、日本とのつながりがある場合も、在留資格認定証明書なく査証発給を受けて日本に入国できたケースはそのうち一部に留まるなど[7]、人道的観点からの受入れとしては極めて不十分と言わざるを得ません。
さらに、難民申請者で在留資格がない者については、難民認定申請に係る処分がなされるまで、非正規滞在の状態が継続します。実際、ミャンマーの緊急避難措置においても「難民認定申請者については,審査を迅速に行」うとしていますが、その審査は迅速に進んでいるとは到底言えません。これらの結果、当面帰国が不可能であり、人道上の配慮を要する難民申請者が、就労もできず、住民票もなく、健康保険をはじめとする社会保障制度からも排除されるという状況に長く留め置かれています。
以上を踏まえ、私たちは、日本政府に対しては、ウクライナ、ロシア出身者及び、それ以外の深刻な紛争、戦争地域出身の者等、その本国の情勢から人道上の配慮を要する者に関し、以下のとおり要請します。
1. 人道的観点から、難民や退避者の受入れを迅速かつ積極的に行うこと。受入れにあたっては、身元保証人や雇用先の確保等の条件を付すことなく、彼らが安心できる状態で受入れや在留資格の安定を図るとともに、政府のイニシアティブにより、包括的な定住支援を行うこと。
2. 日本国内において難民申請を行う者に対しては、
(1)迅速に手続きを行い、条約難民に該当する者に対しては、時機を逸することなく速やかに難民認定を行い、定住支援を行うこと。条約難民に該当しない者についても、上記1.と同様に人道的観点からの受け入れを行うこと。
(2)例外的に難民認定にかかる処分までに一定の期間を要する場合には、人道上の保護としての安定的な在留資格の付与をまず早期に行うこと。そのために法改正が必要な場合には速やかに法改正を行い、法改正がなされるまでの間も、上記を可能にする臨時の措置を取ること。
以上
[1] https://www.cnn.co.jp/world/35184287.html
[2] https://mainichi.jp/articles/20220302/k00/00m/010/320000c
[3] https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202202/28_a.html
[4] https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00036.html
[5] 「自己の責めに帰すべき事情により現に有する在留資格の活動を満了せず在留を希望すると入管が判断した者」に対しては就労時間を週28時間に制限しています。
[6] https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00065.html [7] https://drive.google.com/file/d/157-ELIgI7tF2hsgVNou7DYYnfTXUeX_t/view参照。
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