1.はじめに

個人が庇護を求める権利は、国際法で規定された基本的な権利です。日本政府は、1951年の「難民の地位に関する条約」および1967年の「議定書」の締約国として、難民の地位を認定する責任を負っています。日本政府によって難民の地位を認められた際には、本国に送還されないことが保障され、中長期の在留資格や、様々な権利や便宜が与えられます。

難民としての地位を認定する手続きは「難民認定手続き」と呼ばれ、日本では出入国在留管理庁が所管しています。これは国内手続きであり、難民認定申請は、日本の空海港または日本の出入国管理局で行うことができます。難民と認められなかった場合にも、「人道的理由」から在留が認められることがあります。

難民認定申請書の提出方法は、日本の出入国在留管理局のホームページに掲載されています。申請書は、地方の出入国在留管理局かホームページ上で入手できます。収容されている人は、収容施設の職員等に申立てをし、申請書を入手できます。空港で難民申請の情報を求める場合は、入国管理局職員に問い合わせます。

 

出入国在留管理局:難民認定申請書

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難民認定申請は、審査結果がどのようになるかに関わらず、長く複雑な手続きとなることがほとんどです。弁護士やNGOや支援団体など、専門家の助言を受け、事前の情報収集が重要となるでしょう。

FRJは難民や国際的な保護を必要とする人のためのネットワークとして、日本に逃れた難民の背景をもつ方々へ、難民認定申請の方法や生活に必要な情報提供を行なっていますが、個別の相談支援にあたることができません。相談をされたいことがある場合は、支援団体等に連絡をしてください。

 

NGOや支援団体などの相談窓口

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2.難民認定申請の流れ

 

1.難民認定申請  Application for Refugee Recognition

難民調査官による事実の調査


法務大臣による決定

①難民認定・在留許可
②難民不認定・人道的配慮による在留許可
③難民不認定・在留許可なし

 

 

2.審査請求  Appeal

結果を知らされた日から原則7日以内で、1.の難民認定申請の結果が「②難民不認定・人道的配慮による在留許可」、または「③難民不認定・在留許可なし」の場合にできます。

難民審査参与員による口頭意見陳述等 

※代理人が立ち会うことができます。

法務大臣による決定

①難民認定・在留許可
②難民不認定・人道的配慮による在留許可
③難民不認定・在留許可なし

審査請求によって、不認定処分が正しいとされると、難民認定手続きが終了します。 2度目の審査請求はできません。
再度の難民認定申請はできますが、前回の難民認定申請状況と、新たな難民認定申請理由の有無や内容によって判断されます。

 

 

3.裁判  Judical Procedure

もし難民と認定しない決定に納得できない場合、その決定の取消しを求める訴訟をおこすことができます。
難民不認定の結果の通知を受けた後や審査請求の結果の通知を受けた後にもできますが、審査請求と並行して裁判を行うこともできます。
訴訟を提起できるのは、通知を受けてから6ヶ月以内です。


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3.難民認定申請中の在留資格について


在留資格がある状態で難民認定申請を行う場合(特定活動)

難民認定申請をする際、在留資格がある場合は、在留資格を「特定活動」に変更することができます。この場合、在留期限は更新ができるので、日本の法令を遵守し、期限内に更新申請をしていれば、難民申請中はオーバーステイ(超過滞在)とはなりません。

ただし、2018年1月15日以降、上記運用が変わっています。難民認定申請から2ヶ月の間に振り分けが行われ、その後の在留資格や就労の可否は個別に決定されます。

また、難民不認定が決定されて難民認定手続きが終了すると、在留期限がきてオーバーステイになる可能性があります。在留期限がくる前に難民認定申請を再度行なった場合も、在留期限の更新が認められない可能性があります。

 

 参考リンク

難民支援協会「在留資格変更と在留期間更新許可申請の方法と申請書」
出入国在留管理局「在留資格変更許可申請」

 

在留資格を失っている状態で難民認定申請をする場合(仮滞在・仮放免)

在留資格を失っている状態で難民認定申請をすると、申請中の在留資格の付与はありません。条件を満たしている場合のみ、「仮滞在」の許可がおります。

仮滞在許可は、在留資格を失って難民認定申請を行なった人に対して出入国在留管理局が可否を判断するので、申請手続きはありません。仮滞在許可は在留資格ではありませんが、許可を受けると住民登録や国民健康保険への加入が可能です。就労は認められていません。

仮滞在が認められなかった場合は強制退去手続きの対象となるため、難民認定手続き中であっても収容されることがあります。収容された場合、「仮放免」が認められれば、一時的に収容施設の外で暮らすことができ、在宅で手続きを進めることができます。

 

 参考リンク

日本国際社会事業団「難民と社会資源  在留資格と社会保障のまとめ」
難民支援協会「福祉に関する手続き 難民(申請者)への社会保障サービス」


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4.難民認定をされた場合


難民として認定された場合は、活動に制限のない「定住者」の在留資格を取得することができ、難民の地位として、主に以下のような保障や便宜を受けることができます。

・本国へ不送還
・永住許可要件の一部緩和
・難民旅行証明書(パスポートの代わりとなるもの)

社会保障は日本国籍をもつ人と同等の待遇を受けることができます。また、一定の条件のもと家族の呼び寄せが可能になります。

 

参考リンク

難民支援協会「難民認定に関する手続き


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5.人道的配慮による在留許可


難民認定申請が不認定処分となった場合でも、法務大臣より、人道的配慮による在留許可を付与されることがあります。明確な判断基準は明らかにされていませんが、難民として認定する基準は満たしていないものの、戦争や紛争からの退避、本国事情、日本での家族状況などが考慮されます。人道的配慮による在留許可を受けると、「定住者」や「特定活動」などの在留資格を有することができます。在留資格がなかった人も、在留の正規化が認められます。

難民としての地位に基づく保障や便宜はありませんが、社会保障は日本国籍をもつ人と同等の待遇を受けることができます。家族の呼び寄せは、在留資格により可能性が異なります。

 

 参考リンク

日本国際社会事業団「難民と社会資源  在留資格と社会保障のまとめ」


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