アフガニスタン出身者への緊急措置による迅速な保護等を求める声明
全国難民弁護団連絡会議
2021年8月16日
米国政府が2021年9月11日までにアフガニスタンから完全撤兵する旨を表明し、今年 5 月 1 日に駐アフガン米軍が撤兵を開始して以降、タリバンがアフガニスタン各州の主 要都市で攻勢を強め、8 月に入ると各州の主要都市が陥落し、8 月 13 日にはカンダハ ル、14 日には北部の中心都市マザーリシャリーフ、そして 15 日には首都カブールがタ リバンの勢力下に入ったと報じられています。
現在のアフガニスタンの状況は、タリバン司令官の一人が、公開処刑、手足の切断、投石による処罰などの実施を公言しているように*2、1996 年以降の状況の再現を彷彿させ るものです。タリバンの理念に反する者、女性やマイノリティへの人権侵害が更に広範化し悪化することが懸念されます。
在日アフガニスタン人からは、本国にいる家族を心配し、日本に呼び寄せることはできないかと訴える悲痛の叫びが弁護士や支援関係者に寄せられています。
今後は米国の同盟国たる日本に在留していることのみで、帰国した場合にタリバンから 危害を受ける危険が増すおそれがあります。現在では比較的に多くのアフガニスタン出身の庇護希望者が我が国で在留資格を得ていますが、難民として認定されず、人道配慮 による在留も認められていない者がいることが複数件確認されています。
15 日には、日本や EU を含む 71 の国や地域等が共同声明を発表し、「アフガニスタン全土で権力と権限を持つ立場にある者は、人命と財産を保護し、治安と市民秩序を直ちに回復させる責任がある」と述べ、「アフガニスタンの人々は、尊厳を持って安全に安心して暮らす権利がある。われわれ国際社会はアフガニスタンの人々を支援する用意があ る」と、アフガニスタン待避希望者の保護について述べています*2。 日本政府は、2 月の軍事クーデターで予断をゆるさない状況にあるミャンマー出身の在留者に対して在留 を認める緊急避難措置を講じているところですが、アフガニスタン出身の在留者に対しても、まずは本人が迫害や重大な危害を受けるおそれのある本国に送還されないことを保証すべく、以下の通り、緊急に要請します。
1. 我が国に庇護を求めるアフガニスタン出身者に対し、難民認定手続の審査を待たずに、アフガニスタン出身者であることが確認でき次第、緊急措置として迅速に 安定的な在留資格を付与すること。
2. 難民認定手続外で在留資格の変更を求めるアフガニスタン出身者に対しても、 緊急措置として迅速に安定的な在留資格への変更を認めること
3. 前記 1 と 2 で付与又は許可する在留資格は最低でも在留期間 1 年とし、更新を可能とすること
4. 在留するアフガニスタン人が日本への家族呼び寄せを希望する場合、在留資格認定証明書の許可要件の緩和や大使館での迅速な査証の発給など、最大限の配慮を すること
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