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2026.09.07
パブリックコメント提出:永住許可に関するガイドライン改定案
なんみんフォーラムは、永住許可に関するガイドライン改定案に対するパブリックコメントを提出しました。詳細は下記よりご覧ください。
◆ e-GOV「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について」(2026年9月4日零時締切)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=315000140
◆ 出入国在留管理庁「「永住者」の適正化に係るパブリック・コメントの実施について」
https://www.moj.go.jp/isa/11_00112.html
永住許可に関するガイドライン改定(案)に対する意見
【PDFはこちら】
2026年9月3日
特定非営利活動法人なんみんフォーラム
はじめに
特定非営利活動法人なんみんフォーラム(以下「FRJ」)は、難民等への支援に携わるNGO・団体の全国ネットワークである。本意見は、加盟団体から寄せられている現状や意見をとりまとめ、主として国際的保護の観点から、今回のガイドライン案が難民等に及ぼす影響について意見を述べるものである。
永住許可は、日本に生活基盤を築いた日本国籍を有しない者にとって、在留活動や在留期間の制限のない安定した法的地位を得るための重要な制度である。とりわけ、出身国への帰国が困難で、受入国を生活の本拠としていく難民等にとっては、安定した法的地位のもとで生活を再建し、家族生活、就労、教育その他の社会生活を継続していけることは極めて重要である。
1951年難民条約は、条約上の難民の社会への適応及び帰化をできる限り容易にすることを締約国に求めている。一方、同条約は、難民にどのような在留資格を付与すべきかを具体的には定めていない。これに関して、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のリファレンス・ガイドは、認定された難民に対して、認定時又は比較的短期間のうちに、永住を含む安定した長期的な在留資格を付与することを提言しており、こうした地位が難民の社会統合や受入国との持続的な結びつき(durable ties)の形成を促進するとしている。また、第三国定住については、UNHCRは、難民が第三国に移り、国際的保護を保障するとともに最終的に永住につながる法的地位を得る仕組みと位置づけている。UNHCRの「Resettlement Handbook」及び「Integration Handbook」においても、こうした安定した法的地位の確保は、第三国定住難民の社会統合を進める上で重要な要素とされている。こうした永住も視野に入れた法的地位が重視されるのは、諸権利の享受や行使を円滑にするだけでなく、さもなければ市民権や国籍を欠いたままになり得る難民の不安定な状況に終止符を打つためである1。実際の制度設計は国によって異なるが、こうした観点から、難民条約加盟国においては、難民認定を受けた者に対して認定後比較的早期に永住資格を付与したり、第三国定住難民を永住者として受け入れるたりする例がみられる。
一方、日本においては、難民等に対してはじめから永住権を付与する仕組みはない。難民等が取得する在留資格のうち、活動内容に法律上の制限がなく、最も長期の在留期間を持つものとして、難民又は補完的保護対象者の認定をされた者及び第三国定住難民に付与される「定住者(5年・更新可)」がある。出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」とする)上、これらの者については、永住許可における独立生計要件を求めない特例が設けられている。これは、国際的保護を受ける者について、より安定した在留上の地位への移行を可能とする制度的配慮の一つと考えられる。
加えて、出身国での迫害、紛争その他の事情により帰国が困難であっても、難民認定又は補完的保護対象者認定の申請をせず、就労、就学、家族関係その他の事情に基づく在留資格で日本に暮らしている人もいる。こうした在留資格では、失職や転職、学校の卒業、家族状況の変化などによって、在留資格の変更や更新が必要となる場合がある。また、本国情勢を理由とする「特定活動」による在留も、その取扱いが政策的判断に左右されるため、将来の在留を見通しにくい場合がある。このような人々にとっても、個々の活動や身分・関係に左右されない安定した法的地位を得ることには重要な意味がある。
また、難民の帰化の簡素化は難民条約においても求められていることであるが、帰化によって日本国籍を取得することは、永住とは異なる選択肢であることにも留意が必要である。日本の国籍法は、一定の場合に重国籍となることを前提としつつ、複数の国籍を無制限に認める制度とはなっておらず、基本的には国籍の選択が求められている。帰化を望むかどうかは、出身国との関係、本人のアイデンティティ、家族との関係その他の事情に関わる個人の選択であり、日本での生活への定着度とは別に考える必要がある。帰化を望まない場合や、帰化が認められない場合においても、永住許可は、難民等にとって、日本で安定して生活を継続するための重要な選択肢となる。
今回のガイドライン案では、難民認定及び補完的保護対象者認定を受けた者等について独立生計要件に限って免除する現行法上の特例や、これらの者について「認定後5年以上」の在留をもって原則10年在留の特例とすることも引き続き明示されている。また、「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留している者も、原則10年在留の特例と明示されており、事実上、当該資格を付与される第三国定住難民が対象となる。一方、難民等の一部が適用を免除されない独立生計要件については、現行ガイドラインに比べ、収入や資産等の経済状況について、より具体的な考慮事項が示されている。国益要件については難民等であっても免除対象者がいないところ、現行ガイドラインと比べると、「積極的かつ具体的な利益」や各分野・国の施策への「貢献・寄与」に加え、日本語能力、日本の制度・ルール等への理解、学齢期の子の就学状況などが考慮要素として新たに示されている。また、独立生計要件への適合を法律上求められない者についても、「公共の負担」を理由として消極評価する場合があるとされ、難民認定等手続中や本国情勢を理由として在留する期間については、原則10年の在留期間に算入しないことが明示されている。
永住許可要件の難民等の適用においては、国際的保護の性格と、難民等が日本で生活を再建していく過程を十分に踏まえることが肝要である。永住許可要件の考慮要素とされるもののなかには、難民等が直面する経済的困難、難民認定等の手続に要する期間、日本語や日本の制度等を学ぶ機会、子どもの教育環境等には、本人の意思や努力だけでなく、受入れ制度や支援環境、家族の状況等が関わっている。日本語の習得や制度理解、子どもの教育等を促進することは重要であるが、これらは、必要な教育、情報提供、福祉その他の支援とあわせて進めていくべき事項であり、永住許可の判断との関係においても、その点を十分に踏まえる必要がある。
こうした観点から、本意見では、難民等に対する国益要件の適用、過去の公租課税の納付遅延の扱い、独立生計要件の免除との関係、日本語能力、制度・ルール等への理解、子どもの就学状況、難民認定等手続中及び本国情勢を理由として在留する期間の取扱いについて、以下のとおり意見を述べる。
*「難民等」の範囲
本意見における「難民等」とは、FRJの加盟団体が支援する以下の方たちを含む。難民認定申請者、補完的保護対象者認定申請者、難民・補完的保護対象者不認定処分に対する審査請求を行っている者、難民認定を受けた者、補完的保護対象者認定を受けた者、人道的な配慮を理由に在留を認められた者、本国情勢を踏まえて当分の間の在留を認められている者、第三国定住難民、補完的な受入れその他の経路により来日した国際的保護を必要とする者並びにその配偶者及び扶養家族等。
なお、これらの者には、来日経緯や日本での法的地位に関わらず、入管法第22条第2項が永住許可にあたっての「独立生計要件」への適合を要しないと定める「国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関が保護の必要性を認めた者」を含む場合がある。
また、本意見での「補完的な受け入れ」とは、難民およびその他の国際的保護を必要とする人々が、国際的保護の必要性を尊重されながら、庇護国以外の国において就労、教育その他の機会へアクセスできるようにする移動の枠組みであり、難民の状況に配慮した柔軟性を備えたものを指す2。また、取り組みの主体について、官民を問わないものとする。
1.人道上の配慮をする必要がある者について、国益要件の広範な適用は避けるべき
該当箇所
ガイドライン案 第2項2号並びに第5号(1)及び(11)
【意見】
人道上の配慮をする必要がある者に対し、「積極的かつ具体的な利益」、各分野・各施策への「貢献・寄与」といった広範な国益判断を一律に適用することは避けるべきである。
難民認定を受けた者、補完的保護対象者認定を受けた者、第三国定住難民等を含め、人道上の配慮を必要とする者については、その事情を踏まえた国益要件の適用を明確にされたい。
【理由】
現行の永住許可ガイドラインでは、国益要件について、一定期間の在留、罰金刑・拘禁刑の有無、公的義務の履行、現在の在留資格に係る在留期間、公衆衛生上の事情等、在留実績や義務履行等に関する具体的な事項が中心に示され、日本への貢献は、一定の場合に原則10年の在留期間要件を緩和する特例として位置付けられていた。
一方、今回のガイドライン案では、「単に国益に反しないという消極的なものにとどまらず、積極的かつ具体的に当該外国人の永住が日本国に利益をもたらす必要がある」との考え方が示され、その上で、経済・財政、産業、地域社会、教育、医療、社会福祉等の各分野への「貢献・寄与」に加え、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の各施策への「貢献・寄与」も考慮要素とされている。以上は、難民等はいずれも例外なく適用する設計である。
他方、在留許可手数料については、改正入管法第67条第3項において、「経済的困難その他特別の理由」による減額又は免除の仕組みが設けられている。また、「難民等その他人道上の配慮を必要とする者」を手数料減免の判断基準に含み、「難民等その他人道上の配慮を必要とする者」には、難民又は補完的保護対象者の認定を受けた者に限らず、人道的な配慮を理由に在留を認められた者、本国情勢を踏まえて当分の間の在留を認められている者等を含んでいる3。
こうした人道上の事情を在留に関する制度の中で考慮する考え方との整合性も踏まえ、人道上の配慮をする必要がある者について、「積極的かつ具体的な利益」や「貢献・寄与」を一律に国益要件上の評価対象とすることの妥当性について、慎重に検討されたい。
2.過去の公租公課の納付遅延等について、是正後も一律に消極評価を継続する取扱いは避けるべき
該当箇所
ガイドライン案第2項5号(3)
【意見】
過去に公租公課の納付遅延等があった場合について、「原則として消極評価」とするに当たっては、遅延の程度・期間、その原因、本人の帰責性、その当時の生活状況、その後の是正状況及び適切な履行を継続している期間を考慮することを明確にされたい。
特に、生活困窮その他のやむを得ない事情を背景とする納付遅延が既に是正され、その後相当期間にわたり適切な履行が継続している場合には、過去の事実のみをもって消極評価を継続することは避けるべきである。
【理由】
法令上の義務や公租公課を適切に履行することは重要である。他方、ガイドライン案は、申請時に未納等が解消されていても、過去の不履行等を「原則として消極評価」するとしており、その原因や程度、その後の是正がどのように考慮されるのかは明らかではない。
難民等は、日本で生活を再建する過程で、本人の意思だけでは左右できない事情から、一時的に経済的困難に陥る場合がある。例えば、難民認定申請者は就労が認められない期間に生活資金がすでに枯渇していたり、生活困窮状況にある難民認定申請者等に対する保護措置も適用可否の決定まで平均50日を要する、難民認定申請の結果が出る前に収入がなくとも保護措置が終了する場合がある等、生活保障に空白が生じている。 また、就労許可があっても、就職や住居の確保、日本語能力、健康状態等から安定した収入を得るまでに時間を要し、知人や支援団体の支援を受けたり、食費を削るなどして生活を維持している者もいる。さらに、留学等の経路で来日した者についても、在留資格に伴う就労上の制約の下で、学費・生活費を負担しながら生活を維持している場合は少なくない。
こうした状況で生じた納付遅延等を、十分な支払能力がありながら義務を履行しなかった場合と同様に評価することは適当ではない。過去の不履行等については、当時の生活状況や本人の帰責性、遅延の程度に加え、その後の是正及び適切な履行の継続を踏まえて判断すべきである。
3.法が定める独立生計要件の免除を実質的に損なう「公共の負担」の評価規定を削除すべき
該当箇所
ガイドライン案第2項5号(7)ウ
【意見】
法第22条第2項ただし書又は第61条の2の14により独立生計要件への適合を求められない者についても、「現に公共の負担となっている場合」又は「そのおそれが現実的である場合」を国益要件上の消極評価の対象とすることは、法律が設けた独立生計要件の免除を実質的に狭めるおそれがあるため、削除を求める。
【理由】
入管法は、「UNHCRその他の国際機関が保護の必要性を認めた者で法務省令で定める要件に該当する者」並びに「難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者」について、永住許可に際して独立生計要件への適合を求めていない。一方、ガイドライン案では、これらの者についても、「現に公共の負担となっている場合」又は「そのおそれが現実的である場合」には、国益要件上、消極評価することがあるとしている。
ガイドライン案においては、独立生計要件は、将来にわたり安定した生活を送ることが見込まれるかを判断するものとされ、「公共の負担」やその「現実的なおそれ」も評価するものである。そのため、独立生計要件を免除されている者について、「公共の負担」の点から消極評価することは、法律上免除された要件を国益要件を通じて実質的に再評価することになる。特に、「そのおそれが現実的である場合」は、将来の公的支援の可能性まで評価対象とするものであり、その範囲も明確ではない。
また、難民等には、日本で生活基盤を再構築する過程で一時的に公的支援を必要とする場合があるほか、本人の疾病・障害や年齢、障害のある子どもその他の家族の療育・支援、高齢の家族の介護等によって、就労や収入の確保が制約される場合もある。また、言語や制度上の障壁から既存の福祉・介護サービスの利用にハードルが生じ、家族がより多くのケアを担う場合も考えられる。こうした実態と、国際的保護を受ける者について法律が独立生計要件を免除している趣旨を踏まえれば、公的支援を必要としていることや、その可能性があることを国益要件上消極的に評価すべきでない。
4.難民等の日本語能力について、学習機会及び個別事情を踏まえた柔軟な評価とすべき
該当箇所
ガイドライン案第2項5号(8)
【意見】
難民等について、日本語能力がB1相当レベルに達していないことのみをもって消極評価することのないよう、柔軟な取扱いを明確にされたい。
【理由】
今回のガイドライン案では、B1相当レベル以上の日本語能力を新たに考慮要素として明示する一方、高度人材や一定の学校教育歴を有する者等については、本人にこれを求める必要性・相当性がない場合があるとしており、日本語能力について一定の柔軟な取扱いも予定している。
日本語の習得は、日本での生活、就労、教育、行政サービスの利用や地域社会への参加の基盤となる重要な要素である。一方、難民等が日本語を学び、学習を継続できる条件は一様ではない。例えば、第三国定住難民には来日直後から定住支援プログラムによる日本語教育の機会がある一方、難民認定申請中の者には体系的な日本語教育の機会が限られている。難民認定を受けた者についても、認定までに長期間を要することで、その間に就労を始め、仕事を離れて定住支援プログラムを受講することが難しくなる場合や、居住地から受講施設まで距離があるなどの理由から受講が難しい場合がある。一方、人道的な配慮を理由に在留を認められた者は、その在留の性質にも関わらず、定住支援プログラムの対象とはなっていない。地域の日本語教室を利用する場合にも、地域によって学習機会に差があるほか、迫害理由によっては同国人との接触を避けたいなど、不特定多数があつまる教室に通えない事例も報告されている。さらに、生活を再建するためや、早期に家族を呼び寄せるために扶養能力を認められたい等、まず就労して収入を確保することを優先し、日本語学習を継続する時間を確保することが難しい事例もみられる。
このように、日本語能力は本人の努力だけでなく、学習機会や生活上の事情にも左右される。また、諸外国でも、難民等について一般の外国人とは異なる形で言語能力を扱う例がみられる。仮に日本語能力を永住許可の考慮要素とするのであれば、今回のガイドライン案が、一定の者について日本語能力を求める必要性・相当性がない場合には考慮しないとしていることも踏まえ、難民等に対する柔軟な取扱いや、B1相当レベルに達していないことが、そのまま難民等への永住許可上の不利益につながらない取扱いを求める。
5.「我が国の制度・ルール等への理解」の確認方法及び再確認の機会を明確にすべき
該当箇所
ガイドライン案第2項5号(9)
【意見】
「生活・就労ガイドブック」等に基づく日本の制度・ルール等への理解について、具体的な確認方法、求められる理解の水準、確認結果が永住許可の判断にどのように反映されるのか、また、十分な理解が確認できなかった場合の再確認の機会をあらかじめ明確にされたい。
特に、本人が理解できる言語ややさしい日本語等による情報提供・学習機会を確保し、一度の確認結果のみをもって消極評価するのではなく、不十分な場合には追加的な情報提供や学習の機会を設けた上で、再度確認できる取扱いとすることが望ましい。
【理由】
ガイドライン案では、日本の制度・ルール等について「理解が乏しい者」や「理解する意欲に欠ける者」を消極評価するとした上で、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載された事項を中心に理解を確認し、「一定水準以上」に達しているかを考慮するとしている。しかし、現時点では、確認方法や求められる水準、十分な理解が確認されなかった場合の取扱い等は示されていない。 永住許可上の消極評価に直接関わり得る事項である以上、申請者の予見可能性を確保する観点からも、これらをあらかじめ明確にすることが重要である。
日本の制度等を理解することは、日本で安定した生活を送り、行政サービスを利用し、地域社会に参加する上で重要である。他方、その理解は本人の意欲だけでなく、必要な情報を理解可能な形で得る機会があったかにも左右される。とりわけ難民等については、来日の経緯、教育歴、日本語能力等が多様であり、日本の制度について体系的に学ぶ機会にも差が生じている。
よって、仮に制度・ルールの理解を永住許可の考慮要素とするのであれば、理解度の確認を「選別の手段」とするのではなく、「必要な知識を身につけ、日本社会で安定して生活していくことを支える仕組み」として設計されることを期待する。そのためにも、確認方法及び基準を明確にするとともに、十分な情報提供、学習及び再確認の機会を保障することが肝要である。
6.子どもの就学状況を永住許可上の不利益に直結させるべきではない
該当箇所
ガイドライン案第2項5号(10)
【意見】
学齢期の子が小学校又は中学校に通学していないことのみをもって、申請者を消極評価することのないようにされたい。
子どもの就学を促進することは重要であるが、仮に就学状況を永住許可の評価に用いる場合には、就学に至っていない背景や教育を受ける機会の確保状況等を十分に踏まえて判断することを明確にされたい。
【理由】
今回のガイドライン案では、「申請者が学齢期にある者である場合」と「申請者に学齢期の子がいる場合」の双方について、小学校又は中学校に通学していることを国益要件の考慮要素として示している。
子どもが教育を受ける機会を確保することは、日本で安定した生活を築き、社会に参加していく上で重要である。一方、日本国籍を持たない子の保護者については、日本人の保護者と同様の就学義務は法律上課されていない。政府も、このことを前提としつつ、国際人権規約や児童の権利条約等を踏まえ、日本国籍を持たない子どもについても教育を受ける機会が確保されるよう、就学案内、就学状況の把握、就学促進等を進めている。こうした制度の下で、「小学校又は中学校に通学していること」を永住許可の考慮要素とし、不就学を消極要素として評価する場合には、法律上の就学義務との関係に加え、国や地方公共団体が教育へのアクセスを確保する役割との関係にも十分留意する必要がある。
また、不就学や不登校の背景は様々であり、必ずしも保護者が子どもに教育を受けさせる意思を欠いていることを意味しない。特に難民等には、出身国で教育が中断していた場合や、来日時の日本語能力、避難・迫害の経験、心身の状態等から、学校への適応に時間を要する場合がある。また、日本語指導体制の不足、いじめ、不登校等、本人や保護者の努力のみでは解決できない事情もあり得る。このため、通学しているかどうかだけでは、本人や保護者の教育に対する姿勢や、教育を受ける機会が確保されているかを十分に判断することはできない。
子どもの就学を促進することと、その就学状況を永住許可の評価に用いることは、分けて考える必要がある。 子どもの教育機会の確保は、就学できていない背景を把握し、必要な教育・日本語・福祉等の支援につなげることによって進めることが望ましい。また、保護者の永住許可の判断は、扶養される子どもの在留や生活の安定にも影響し得ることから、子どもの最善の利益にも配慮する必要がある。
したがって、仮に学齢期の子の就学を永住許可の考慮要素とする場合であっても、学齢期にある申請者自身又は申請者の子の就学状況のみをもって消極評価するのではなく、就学に至っていない背景、教育を受ける機会の確保状況、本人・家族の事情等を踏まえて判断されたい。
7.難民認定等手続中及び本国情勢を理由として在留を認められた期間を、永住許可に必要な在留期間から一律に除外すべきではない
該当箇所
ガイドライン案第3項3号及び第5項1号
【意見】
「難民認定等手続中」及び「本国における情勢不安を理由に本邦への在留が認められている者」の「特定活動」による在留期間を、永住許可に必要な在留期間から一律に除外すべきではない。
手続に要した期間、実際の在留期間及び日本での生活基盤の形成状況を踏まえて算入できる余地を設けるとともに、難民認定を受けた者及び補完的保護対象者認定を受けた者について「認定後5年以上」の在留を求める特例についても、認定手続に要した期間を考慮した柔軟な取扱いとされたい。
【理由】
ガイドライン案では、「難民認定等手続中」「本国における情勢不安を理由に本邦への在留が認められている者」の特定活動について、原則10年の在留期間に算定しないことが新たに明示されている。
しかし、難民認定等の手続に要する期間は、申請者本人が決定できるものではない。出入国在留管理庁は、難民認定手続の標準処理期間を6か月として4、従来から適正かつ迅速な審査を進める方針を示しているが、2025年に処理された難民認定申請の一次審査には平均約22.5か月を要している5。審査が長期化した場合に、その期間を一律に算定対象外とすれば、申請者本人の事情によらない審査期間の長期化が、永住許可の取得時期にも影響することを懸念する。
さらに、本国情勢を理由として在留を認められている者についても、帰国できる時期を本人が選択できるものとは限らない。本国情勢の悪化が長期化すれば、日本での在留も長期に及び得る。実際、シリア情勢を踏まえた在留許可については、2015年頃にはすでに支援団体や弁護士から運用が報告されており、2025年末時点でも346人が当該措置による「特定活動」の在留資格で在留している6。このように、本国情勢を理由として「当分の間」の在留が認められた者についても、その後の情勢によっては、本人の意思とは関係なく在留が長期に及ぶ場合がある。
よって、難民認定等手続中及び本国情勢を理由として在留を認められた期間を一律に永住許可に必要な在留期間から除外するのではなく、それぞれの在留に至った事情を踏まえて、算入の可否を判断できる取扱いとすることが望ましい。
[1] UNHCR, Rights of Refugees in the Context of Integration: Legal Standards and Recommendations, June 2006, p.29 https://www.unhcr.org/sites/default/files/legacy-pdf/44bb90882.pdf; UNHCR, Resettlement Handbook, “Introduction: Resettlement as a durable solution”, 2024.
https://www.unhcr.org/resettlement-handbook/introduction; UNHCR, Integration Handbook, “Legal status,” last updated 9 March 2024. https://www.unhcr.org/handbooks/ih/support-services/legal-status
[2] UNHCR ”Operational Guidelines on Complementary Pathways – UNHCR Operational Guidance on Complementary Pathways for Admission” https://www.unhcr.org/complementary-pathways-guidance/
難民支援協会「難民受け入れの新たな潮流『補完的な受け入れ』ーUNHCR駐日副代表インタビュー」https://www.refugee.or.jp/report/activity/2024/03/c-pathways/
[3] 入管庁「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置について」https://www.moj.go.jp/isa/10_00273.html
[4] 入管庁「難民認定手続・補完的保護対象者認定手続」https://www.moj.go.jp/isa/refugee/procedures/16-6.html
[5] 入管庁「難民認定審査の処理期間の公表について」https://www.moj.go.jp/isa/refugee/resources/nyuukokukanri03_00029.html
入管庁「令和7年における難民認定者数等について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00058.html
[6] 入管庁「令和7年における難民認定者数等について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00058.html
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