2017.06.02
外務大臣へ保護費に関する提案書を提出しました
6月2日、なんみんフォーラム(FRJ)は、困窮する難民認定申請者のための公的な生活支援金(保護費)に関して、外務大臣へ提案書2点と添付資料を提出いたしました。一つは支給対象者枠に関して、もう一方は収入認定に関してです。
提案の背景
生活困窮者と認められる難民認定申請者に対しては、保護費(生活費・住居費・医療費)の支給が行われています。根拠法令はなく、1982年7月の難民行政監察に基づいており、外務省が所管しています。法務省による難民認定申請の審査結果が届くまでの間、難民認定申請者は、本支援事業の委託先である難民事業本部を通じて、生活費(12歳以上1日あたり1,500円、12歳未満1日あたり750円)、住居費(上限全国一律40,000円)、医療費を受けることができます。保護費受給のためには審査がありますが、特に就労許可のない難民認定申請者や、健康状態などの事情により就労できない難民認定申請者にとっては、非常に重要な公的支援です。
■ 保護費支給対象枠をめぐって
2009年に、難民認定申請者の急増の中で、保護費の予算が不足する事態が起きました。その後、2010年4月1日付外務省総合外交政策局人権人道課長通達「生活に困窮する難民認定 申請者等に対する保護措置の見直しについて」によって、保護費の対象者が絞られました。それ以前は全ての難民認定申請者が対象とされていたのですが、原則として1回目難民認定申請の不認定処分等について裁判所において取り消し訴訟(第一審)を行っていない複数回申請者は対象外となりました。
法務省統計によれば、2008年〜2016年に難民認定者、人道配慮による在留特別許可を受けた人のうち、それぞれの約3割は正規の在留資格を持っておらず、就労することができません。このような難民認定申請者は、知り合いや民間団体の支援等を頼りますが、恒常的な支援を受けることは大変困難であり、家賃の滞納、電気やガスの停止、医療費支払いの保留をし続ける等、生活が困窮しています。また、2010年から2016年の間に難民認定された者のうち約15%が、人道配慮による在留特別許可を受けた人のうち約30%が、複数回の申請を行っていることがわかっていますが、その中にも在留資格や就労許可がないまま結果を待っていた人が含まれている可能性があり、今後もそうした事態が起きていく可能性は決して否めません。
■ 収入認定をめぐって
保護費の受給にあたり、公的な手当、交通費等の経費支援、善意の支援などが収入として認定され、生活費等から差し引かれる場合があります。現在の運用では、実質的に保護費支給額以上で生活することが禁じられ、自立できない仕組みになっています。例えば、児童扶養手当など数ヶ月分の公的な手当がまとめて収入認定されると、その月の保護費の支給額が0円となってしまうことがあります。困窮家庭は、すでに借金や未払いを抱えて生活していることも多く、公的手当で増えたその月の収入は、そうした負債の返済に充てざるをえないこともあります。短期的な決断を迫られる中で、⻑期の消費計画を⽴てることは難しい実情があり、収入認定が実際には難民認定申請者の生活に大きな打撃を与えています。
全国の支援現場へは、制度と実情とのギャップによって、最低限の安全と生活が確保できていない難民認定申請者からの相談が日々届いています。FRJでは、そうした現場の声をとりまとめ、現状改善に向けた案として、保護費に関する2つの提案書を提出させていただきました。
提出した提案書と添付資料
本件に関するお問い合わせ
NPO法人なんみんフォーラム(FRJ)
〒 165-0034 東京都中野区大和町1‐53‐11
Tel: 03-6383-0688|Fax: 03-6383-0699| info@frj.or.jp|www.frj.or.jp
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