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2021.09.28

全難連「東京高裁の送還違憲判決に従い難民申請者を含む外国籍者の裁判を受ける権利を保障するよう求める声明」発表

FRJ加盟団体の全国難民弁護団連絡会議は、2021年9月28日 、「東京高裁の送還違憲判決に従い難民申請者を含む外国籍者の裁判を受ける権利を保障するよう求める声明」を発表しました。

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東京高裁の送還違憲判決に従い難民申請者を含む外国籍者の裁判を受ける権利を保障するよう求める声明

 

2021年9月28日
全国難民弁護団連絡会議

 

 2021年9月22日、東京高等裁判所は、東京入管職員が2014年12月17日に、スリランカ国籍の難民申請者2名に対して異議申立てを棄却する通知をした後、2名が「訴訟をしたい」旨を訴えたにもかかわらず、その翌日チャーター機によって集団送還した行為について、憲法32条の裁判を受ける権利を侵害し、かつ、憲法31条の適正手続の保障及びこれと結びついた13条に違反するという判決を言い渡しました。この判決は、難民申請者にも「裁判を受ける権利」という憲法上の権利が保障されていることを明確に示したものであり、人権の守り手である裁判所の役割を果たした判決といえるでしょう。

 

 これまで外国籍者の権利については、「外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当」とした1978年(昭和53年)の「マクリーン判決」[1]が40年以上も影響力を持ち続け、国は入管法によっていかようにも外国籍者の権利を制限できるかのような振る舞いを続けてきました。しかしながら、入管による今回のような恣意的な権力の行使が許されないこと[2]、外国籍者にも侵害の許されない憲法上の権利があることを、今回の判決は明らかにしました。

 

 難民申請者に提訴する時間を与えない入管による送還行為は、過去に多数行われてきました。判明しているものだけでも、2014年12月18日のスリランカへの集団送還では、今回の原告を含む26人が難民不認定処分に対する異議申立ての却下または棄却の告知をされてから24時間以内に送還されており[3][4]、2016年9月22日のスリランカへの集団送還の際は、送還された30名のうち22名[5]が、2018年2月8日のベトナムへの集団送還の際は、送還された47名のうち16名が[6]、やはり異議申立ての却下または棄却の告知をされてから24時間以内に送還されました。法務大臣は、今月24日、送還は不服申立てが退けられた告知をしてから原則2か月以上後にする旨の通達を今年6月に出したと記者会見で明らかにしましたが、あまりに遅きに失し、それまでに送還されてしまった人の被害は回復できていません。

 

 また国は今回の裁判で、控訴人ら2名に難民該当性はなく、日本に在留するために難民制度を濫用した、という主張をしました。しかし、東京高裁は、難民該当性の問題と、司法審査を受ける機会の保障は別問題であり、難民申請が濫用的なものであるかどうかも含めて司法審査の対象とされるべきとしました。この裁判所の判断は、憲法32条から当然の結論ですが、一方、国が安易に「難民制度の濫用」と決めつけていることは大きな問題です。国は、迫害主体が政府ではないことや、自己名義の旅券を取得して本国を出国したこと、入国後に長期間難民申請をしなかったこと等を理由に、濫用的な申請者だと決めつけていますが、それだけでは難民でないとは言い切れません[7][8][9]。このような理由で国が難民として認めていないとすれば、それはむしろ、現在の国の難民認定手続が不十分であることを示しているといえるでしょう。

 

 最後に、本件において違憲と断じられた暴挙は、外国籍者の人権享有主体性を顧みることなく、非正規滞在者を何が何でも日本から排除することに固執した、頑なともいえる国の方針が根底にあります。これは名古屋入管収容場で今年3月、スリランカ国籍の女性が、「立場を理解させ、強く帰国説得する」ために長期間収容を解かれず、体調が悪化しても詐病だと疑われ、死亡してしまった事件と繋がります。非正規滞在者は不正に在留しようとする者であり、徹底的に排除しなければならないという差別的な思想が、これらの過ちを生んでいるのです。

 

 私たちは、政府、入管庁に対して、今回、東京高裁が難民申請者に「裁判を受ける権利」という憲法上の権利が保障されていると確認したことを真摯に受け止め、司法審査を受ける権利をあらゆる場面において実質的に確保することを求めると共に、難民申請者を含む外国籍者の人権享有主体性を認めるという国家として自明の責任を果たすよう強く訴えます。

 

以上

 

[1] 最高裁判所大法廷昭和53年10月4日判決(民集第32巻7号1223頁)

[2] 本判決は「控訴人らが訴訟提起をする前に送還を実施すべく、敢えて本件各異議申立棄却決定の告知を送還の直前まで遅らせたものと解さざるを得ない」として、入管が意図的に訴訟をさせないような行動を取ったことを認定した。

[3] 名古屋高等裁判所令和3年1月13日判決(令和元年(ネ)第664号、裁判所ウェブサイト)は、「司法審査の機会を実質的に奪ったものとして、国賠法1条1項の適用上違法となる」と判断した(国の上告なく確定)。

[4] 第190回国会難民申請者の強制送還に関する質問主意書に対する答弁書https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/190/meisai/m190157.htm

[5] 東京弁護士会「スリランカへの集団強制送還に対する会長声明」(2016年11月18日)https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-449.html

[6] 全国難民弁護団連絡会議ほか「チャーター機によるベトナムへの一斉送還(2018 年 2 月 8 日)に対する抗議声明」http://www.jlnr.jp/statements/2018/joint_statement_20180228_final.pdf

[7] 入管法は、かつて難民認定申請を上陸後60日以内としていたが、2004年の法改正で申請期間の制限を撤廃した。

[8] UNHCR「難民認定基準ハンドブック改訂版」65.では、国家以外が迫害主体となりうる場合を認めている。名古屋高裁平成28年9月7日判決(ジュリスト臨時増刊1518号292頁)は、「迫害の主体が公然かつ広範囲に迫害行為を繰り返し、政府がこれを制止し得ず、制止し得る確実な見込みもない」場合に難民該当性を認めた。

[9] UNHCR同47-50.は、難民であっても真正な旅券を所持している場合があるとしている。

 

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