FRJの活動

2026.07.31

パブリックコメント提出:在留許可手数料の変更に関する政令案・省令案/手数料の減額対象者のガイドライン案に対する意見

なんみんフォーラムは、在留許可手数料に関する政令案・省令案および手数料の減額対象者のガイドライン案に対するパブリックコメントを提出しました。詳細は下記よりご覧ください。

在留許可手数料に関する政令案及び省令案に対する意見:PDFはこちら

「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」に対する意見:PDFはこちら

※e-GOV「「出入国管理及び難民認定法施行令及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法施行令の一部を改正する政令案」等に係る意見募集について」(2026年8月3日零時締切)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000136&Mode=0

※「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」に係る意見募集について(2026年8月3日零時締切)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000137&Mode=0


在留許可手数料に関する政令案及び省令案に対する意見 

【PDFはこちら

2026年7月31日
特定非営利活動法人なんみんフォーラム

はじめに

 特定非営利活動法人なんみんフォーラム(以下「FRJ」)は、難民等(*)への支援に携わるNGO・団体の全国ネットワークである。本意見は、加盟団体の意見を取りまとめた上で、FRJが提出するものである。

 本政令案及び省令案は、在留資格の変更や在留期間の更新等に係る手数料の額、減免の範囲を定めるものであり、難民等の安定した在留及び生活に大きな影響を及ぼす。出身国における迫害のおそれから逃れた難民等にとって、在留資格の変更や更新は、任意に選択して利用する行政サービスではなく、日本で安全かつ合法的に生活を継続するために必要不可欠な手続きである。過度な手数料負担によって在留が不安定化し、日本での生活の再建や自立が遅れれば、その影響は本人にとどまらず、家族、支援団体、雇用主及び自治体等にも及ぶおそれがある。相談支援、住居、医療、教育その他の社会福祉サービスへの負荷を含め、制度が社会全体にもたらす影響を考慮する必要がある。

 出入国在留管理、難民保護、相談支援、日本語教育、社会統合等の施策は、個々の申請者だけでなく、外国人と共に暮らす日本社会全体のあり方に関わる公共的な施策である。これらの施策に要する費用は、本来、日本社会全体で負担すべきものである。外国人のみに課される在留許可手数料及びその引上げによって、まかなうべきではない。

 なお、減額対象者の具体的な範囲及び判断基準については、別途提出する「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン案に対する意見」において述べる。本意見では、政令及び省令において確保すべき手数料の額や減免措置の範囲並びに基本的な手続きのあり方について、以下のとおり意見を述べる。

*「難民等」の範囲

 ここでいう「難民等」とは、FRJの加盟団体が支援する以下の方たちを含む。難民認定申請者、補完的保護対象者認定申請を行っている者、難民・補完的保護対象者不認定処分に対する審査請求を行っている者、難民認定者、補完的保護対象者、人道的な配慮を理由に在留を認められた者、本国情勢を踏まえて当分の間の在留を認められている者、第三国定住難民、補完的な受け入れその他の経路により来日した国際的保護を必要とする者並びにその配偶者及び扶養家族等。

 なお、本意見書での「補完的な受け入れ」とは、難民およびその他の国際的保護を必要とする人々が、国際的保護の必要性を尊重されながら、庇護国以外の国において就労、教育その他の機会へアクセスできるようにする移動の枠組みであり1、難民の状況に配慮した柔軟性を備えたものを指す。また、取り組みの主体について、官民を問わないものとする。


1. 在留資格変更・在留期間更新の手数料額の大幅な引上げを避けるべき

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第1項第1号から第3号まで

【意見】

 在留資格変更、在留期間更新の手数料は、現行額を基本とし、大幅な引上げを避けるべきである。仮に手数料額の見直しを行う場合であっても、引上げの必要性及び難民等を含む申請者への影響を十分に検証し、引上げ幅を最小限にすべきである。

【理由】

 難民等にとって、より安定的な在留資格への変更は、不安定な在留状態から、より安定した地位へ移行するための重要な手続きである。しかしながら、その手続きを行う時点では、日本での生活基盤が十分に確立しているとは限らない。 入国間もない難民等の中には、所持金が尽き、日々の食べ物や住居に困るなど、生活に極めて困窮する状態に置かれる者も少なくない。就労許可を有する場合であっても、日本で一から生活を立て直すにあたって、就職先や安定した住居の確保に一定の期間を要することがある。さらに、日本の就職活動や労働慣行に関する情報や経験の不足、日本語能力の習得機会の制約、出身国での迫害や避難の経験によるトラウマ、健康上の事情等により、就労の開始や安定した収入の確保が困難な場合も想定される。

 このような事情から、難民等が手数料の支払いに困難を抱え、知人や支援団体の支えなどで何とか支払っている現状がある。仮に自力で手数料を支払えていたとしても、最低限の生活を維持することが困難な状況の中で、食費を削ったり、野宿を継続したりすることで何とか手数料を捻出している者がいる。

 政令案では、現行額の1.6倍(在留期間3月の場合)から12.5倍(同5年の場合)という、大幅な引上げ額が示されている。難民申請中で6月の在留資格を有していれば、1回あたりの手数料の額は1万8千円となり、現行の3倍の額である。4人家族の場合、この額は1回あたり7万2千円に上る。

 このような手数料の大幅な引上げにより、日本に逃れた難民等の生活再建が困難となることを強く懸念する。また、手数料の支払いが困難となり、結果として非正規滞在となるケースも想定される。手数料の大幅な引上げを避けるべきである。


2. 在留期間3月以下の者について、少なくとも現行額を維持し、減額又は免除を可能とすべきである

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第1項第1号、第3項及び第4項

【意見】

 難民申請者の中には、審査期間中に短期間の在留資格が繰り返し付与され、その都度在留資格変更又は在留期間更新の手続及び手数料の支払いが必要となる者がいる。在留期間3月以下の在留資格変更及び在留期間更新の手数料については、少なくとも現行額を維持すべきである。

 また、手数料の減免措置について、政令案では在留期間3月を超える場合のみを対象としている。在留期間3月以下の者であっても、経済的困難又は人道上の事情がある場合には、手数料を減額又は免除できる制度とすべきである。特に、就労が認められていない難民認定申請者等については、適法な在留の継続を妨げないよう、実効的な負担軽減措置を設けるべきである。

 難民申請者については、米国、英国、カナダ、フランス及びドイツにおいて、手数料を徴収することなく合法的な滞在を認める旨が政府資料で示されている。改正法では「諸外国における同種の手数料の額を勘案」(法第67条第2項)と規定されているところ、政府においては、諸外国における難民申請者に対する手数料の免除をどのように評価しているか。

【理由】

 難民申請者の場合、難民申請から一定期間(初回申請でD案件の場合は8か月間)は原則3月以下の在留資格しか付与されない。この間は就労が認められておらず、所持金が尽きる場合も多い。保護措置の適用可否の決定には平均で50日間を要しており2、保護費の受給が開始しないうちに在留資格の手数料の支払いが必要となる。保護措置の待機期間は、その時々の状況(保護措置の申請者数や、委託先の審査体制)によって左右されるものである。過去には保護費の受給までに4か月以上の待機を強いられる事案も頻発していた。

 付与される在留期間、就労の可否並びに難民認定又は補完的保護対象者認定の審査に要する期間は、本人が自由に選択できるものではない。そのような中で、3か月ごとの在留資格の更新によって、難民申請者は過大な負担を求められることとなる。

 そもそも、難民申請者の多く(約66%)は3、難民申請の時点で短期滞在の在留資格を有しており、難民申請と同時に、難民申請者用の在留資格(特定活動)に変更することとなる。この難民申請者にとって決定的に重要な在留資格変更の場面において、手数料の負担を軽減するための措置が肝要である。

 政府の比較資料でも、米国、英国、カナダ、フランス及びドイツにおいて、難民申請者に対して、手数料を徴収することなく合法的な滞在を認める旨が示されている。難民認定は宣言的性格を有するものであり4、難民申請を行う段階から、庇護国社会の一員としての生活が始まる。諸外国の取り組みは、難民申請者において、資力の有無にかかわらず公平な法的地位や手続きを行うための施策であるといえよう。これらの「諸外国における同種の手数料の額を勘案」(法第67条第2項)し、保護の必要性を審査している期間の適法な在留を経済的理由によって妨げない制度とするべきである。


3.「経済的困難」と「その他特別の理由」を独立した減免理由とすべき

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第2項第1号

【意見】

 減免措置の対象を「生活に困窮している者で、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者その他人道上の配慮をする必要があるもの」に限定するべきではない。「経済的困難により手数料を負担することが困難な者」と「難民等その他人道上の配慮を必要とする者」のどちらかに当てはまれば、減免措置の対象となる旨を政令で定めるべきである。

 特に難民等のうち経済的に著しく困窮している者を、人道上の類型に該当しないことのみを理由として減免措置の対象外とするべきでない。近年、難民受入れの形態は多様化しており、難民等の中には「留学」や「日本人の配偶者」など、ガイドラインが定める「定住者」や「特定活動」以外の在留資格で在留する者もいる。例えば、難民の背景を持ち、日本政府や民間主導で留学生として受け入れられた者が、病気等の個別事情を含め、経済的に困窮している場合、手数料の減額を検討するべきと考えるが、政府ではどのように対応する予定か。

 また、難民認定者や補完的保護対象者、第三国定住難民等については、国際的保護に立脚した政策・制度に基づく地位であることを鑑みて、経済的困窮という追加条件を課さず、減免措置の対象とするべきである。さらに、難民申請者についても、難民申請に関する最終的な判断が行われるまでの間、適法な在留を確保する観点から減免対象とするべきである。

【理由】

 減免措置について、改正法では「経済的困難その他特別の理由」による減額又は免除が定められている(法第67条第3項)。一方で、政令案においては、生活困窮と人道上の配慮の双方の理由を満たす場合を対象として定めており、制限的な運用が懸念される。

 近年、難民受入れの形態は多様化しており、難民等の中には「留学」や「日本人の配偶者」など、ガイドラインが定める「定住者」や「特定活動」以外の在留資格で在留する者もいる。例えば、日本政府においては、2017年度から25年度までに133人のシリア人を留学生として受け入れている5。加えて、民間主導により、シリアやアフガニスタン、ウクライナ等からの難民・避難民の背景を持つ若者の留学生としての受け入れも進められている。

 このような留学等を通じた国際的保護の枠組みは、難民の「補完的な受け入れ」として世界各国で取り組まれている。2018年に日本を含む181か国の賛同で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト(Global Compact on Refugees:GCR)」でも示されており、留学以外にも、就労や家族統合といった形態が想定されている。難民受け入れのあり方が今後より一層多様化することが見込まれる中で、在留資格からは一見して「人道上の配慮」を要すると分からない場合であっても、生活困窮を理由に減額措置の対象とする余地を残すことが肝要である。

 また、難民認定者、補完的保護対象者、第三国定住難民等については、国際的保護に立脚した政策・制度に基づく地位であるから、経済的困窮の有無にかかわらず、減免措置の適用が可能である旨を定めるべきである。経済困窮の度合いの判断においては、難民等が生活保護や保護措置を受けずに生活している場合であっても、手数料を支払う余裕が無い場合を想定するべきである。公的給付を受けていないがそれに準ずる程度に生活に困窮している者を、公的給付を受けている者と比べて手数料の支払いにおいて不利な立場に置くことは、適切な制度のあり方とは言い難い。「経済的困難」が明確でない場合であっても「その他特別の理由」への該当から減額措置の対象とする可能性を想定した制度としていただきたい。


4. 減額後の下限を削除し、全額免除を可能とすべき

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第3項及び第4項

【意見】

 経済的事情のみをもって在留資格の変更又は在留期間更新の許可を受けられない事態を防ぐため、在留資格変更及び在留期間更新について、減額後の金額を1万円までとする一律の下限を削除すべきである。また「経済的困難により手数料を負担することが困難な者及び難民等その他人道上の配慮を必要とする者」を、第25条第4項が定める免除対象者に含めるべきである。

【理由】

 政令案では「経済的困難その他特別の理由」の度合いにかかわらず、減額措置の下限を一律1万円とする旨が定められている。減額の規定は「我が国に引き続き在留することができるよう人道上の観点から特に配慮する必要がある方たち」が「経済的事情により所定の在留資格の変更の許可等に係る手数料を納付することができないことのみをもって在留資格の変更等の許可をしないとすることは相当ではない場合6」を想定して定められたものである。就労許可のない者、疾病や障害があり十分な収入が得られない者、扶養家族が多い者などにとって、1万円であっても支払可能な額とは限らない。減免制度を設けながら、一律の下限額によって最も経済的に困難な者を救済できないのであれば、その制度は「経済的事情のみをもって不許可としない」という制度目的を十分に実現しているとはいえない。

 また、生活保護等の公的支援受給者の場合、最低限の生活を維持するための生活費から手数料を捻出することとなり、公的支援により保障されるべき最低限度の生活を損なう結果となるため、公的支援制度の趣旨とも本来整合しない。また、保護措置については、生活費は、単身で月約7万2,000円、4人家族で子ども2人の場合は約19万2,000円であり、住居費は、単身で上限4万円、4人家族以上の場合は上限6万円である。現案は、生活保護が「最低限の生活保障」として定める金額を下回る保護措置の支給額から手数料を支払うことを想定していることになる。

 以上の理由から、経済的困難の度合いによっては、手数料を免除することを視野に入れた制度とするべきである。


5. 未成年者を免除対象とし、世帯単位の負担上限を設けるべき

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第1項から第4項まで

【意見】

 未成年者について、在留資格の変更や更新の手数料を原則免除すべきである。仮に未成年者に手数料を課す場合であっても、同一世帯に属する者が同時期に在留資格変更又は在留期間更新を申請する場合には、世帯単位の手数料上限を設けるなど、多子世帯への負担を軽減するための仕組みを設けるべきである。また、ひとり親世帯、その他扶養負担の大きい世帯について、追加的な軽減措置を設けるべきである。

【理由】

 難民申請者のうち約9%(1,073人)を占める未成年者について7、現状、在留資格の手数料を軽減するための仕組みは設けられておらず、就労許可を当然有さない学齢期の子どもや、保護費の生活費が半額となる12歳未満の子どもについても、大人と同じ額の手数料を支払っている現状である。仮に手数料の額が引き上げられた場合、多子世帯により大きな負担を与えることとなり、難民申請中の在留資格の安定が損なわれることが懸念される。また、難民申請者等には保護者を伴わない未成年者も含まれ、難民認定手続き同様、在留手続きにおいても、その特性に配慮した対応を求めたい。

 難民認定や補完的保護対象者の認定を受けた者が、出身国から家族を呼び寄せる場合も多い。難民の家族の再統合は権利性を有するものであり、庇護国にはそのための便宜を図ることが求められている8。また、第三国定住やシリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)では家族の帯同が認められており、難民等が子どもを含む家族単位で在留手続きを行うことは少なくない。

 未成年者は通常、自ら収入を得て手数料を負担することができず、その負担は実質的に保護者又は扶養者が負うこととなる。また、手数料は申請者ごとに課されるため、子どもの人数が多いほど世帯全体の負担は増加し、ひとり親世帯や多子世帯では特に重い負担となる。

 世帯全員が適法な在留資格を維持することは、子どもの生活の安定及び最善の利益を確保するために不可欠である。子どもの人数に応じて過大な負担が生じることを避けるため、未成年者の手数料免除及び世帯単位の負担上限を設けるべきである。


6. 永住許可手数料について、難民等の社会統合を踏まえた軽減措置を設けるべき

該当箇所

改正後の入管法施行令第25条第1項第3号及び第3項第2号

【意見】

 永住許可は難民等の社会統合を進める上で重要な制度であることから、永住許可手数料の軽減対象に、人道上の理由で受け入れや在留が認められてきたインドシナ難民や、人道配慮による在留許可を受けた者を含めることを検討いただきたい。また、未成年者については、独自の収入や支払能力がないことを踏まえ、永住許可手数料を大幅に軽減又は免除すべきである。そのほか、人道上の事情が認められる場合には、個別の支払能力に応じて柔軟に軽減できる規定が望ましい。

【理由】

 永住許可は、在留活動及び在留期間の制限のない安定した法的地位への移行であり、出身国への帰国が困難な難民等にとって、日本での生活を築く重要な要素である。仮に手数料が引き上げられた場合、要件を満たしているにもかかわらず、手数料を負担できないために申請を断念又は先送りする事態が懸念される。多子世帯にとって、1人20万円という手数料額は特に負担が大きい点にも、注意が必要である。

 難民等のうち、難民認定者や補完的保護対象者、第三国定住難民については、永住許可手数料の減免措置の対象となる旨が改正法において定められている。一方、インドシナ難民(2世以降を含む)や人道配慮による在留許可を受けた者についても、日本での在留が長期化し、帰国できない事情も抱える中で、永住を希望する場合が想定される。

 永住への移行が高額な手数料によって妨げられ、在留期間更新を繰り返すことになれば、本人だけでなく行政にも反復的な審査負担が生じる。また、難民等の社会統合を促進することは、日本の難民保護及び受入れ政策として重要な目的であり、永住許可手数料はその実現を妨げる障壁ではなく、円滑な社会統合を支える制度として設計されるべきである。


7. 手数料を直ちに支払えない者に対する納付猶予等を設けるべき

該当箇所

政令案及び省令案全般、特に改正後の入管法施行規則第62条

【意見】

 経済的理由により、難民等が在留資格の手数料を支払うことができない場合が想定される。一時的に手数料の納付が困難な者について、納付猶予や分割納付を可能とすべきと考えているが、政府において、そのような仕組みは検討されているか。

 納付猶予又は分割納付の運用にあたっては、実効性の観点から、審査結果の通知から手数料納付までの間に一定の合理的期間を設けるべきである。

 また、制度の予見可能性及び適正な運用を確保するため、納付猶予等の対象、申請方法、期間及び許可の効力との関係を、省令に明記すべきである。

【理由】

 省令案は、収入印紙又は指定された電子的な方法による手数料の納付方法を定めている一方で、支払が困難な場合の納付猶予、分割納付又は減免申請中の取扱いを定めていないため、この点についても規定すべきである。

 経済的理由により手数料を納付できないことのみを理由として、許可された在留資格を取得できず、適法な在留を継続できない事態を生じさせるべきでない。特に難民等については、国際的保護の観点から、法的地位を不安定化させないための取組が肝要である。

 一時的な失業、収入の途絶、疾病、その他の事情によって、許可時点で直ちに手数料を納付できない場合がある。納付できないことによって在留が不安定化すれば、就労、住居、医療、教育及び家族生活等にも重大な影響が及ぶ。支払い不能による在留の不安定化を防止することは、本人及び家族の保護だけでなく、安定的な在留管理にも資する。

 納付猶予又は分割納付を可能とするためには、現に有する在留期間が満了する直前で審査結果の通知がなされても納付猶予又は分割納付を行うことができなくなる。そのため、在留資格又は特例期間の満了日に十分先立つ形で、在留審査の結果が通知され、手数料の納付猶予又は分割納付を申し出ることができるだけの合理的な期間を設けるべきである。


8. 減免手続、再検討手続を標準化すべき

該当箇所

改正後の入管法施行規則第62条及び第63条並びに省令案全般

【意見】

 全国で公平かつ予見可能な運用を確保するため、減免の申請方法、申請時期、必要書類、審査手続及び標準処理期間について、省令に規定すべきである。また、地方出入国在留管理局長へ権限を委任した後も、全国共通の判断基準及び手続に基づいて判断が行われるべきである。

 減免の可否及び金額については、申請者が手数料を準備する機会を確保し、許可時の混乱を防ぐため、在留資格変更又は在留期間更新許可を受けるために出頭した際に告知するのではなく、予め、通知すべきである。加えて、減額を認めない場合又は減額するものの免除に至らない場合には、その具体的な理由を書面によって通知すべきである。

 判断の適正性を確保するため、在留許可手数料減免の判断について、追加資料及び意見を提出し、再検討を求めることができる仕組みを設けるべきである。再検討を担当する職員は、初回の決定に関与していない者とすべきである。

 減免手続を理由として在留資格の安定が損なわれないよう、減免審査又は再検討を理由に、在留資格変更及び在留期間更新の審査又は許可を遅延させるべきではない。

【理由】

 省令案は、法第67条第3項に基づく減額又は免除の権限を地方出入国在留管理局長に委任することとしている一方、その申請方法、判断手続及び判断時期については具体的に定めていない。統一的な手続きがなければ、地方局又は担当者によって、減免の可否、必要書類、判断時期等に差が生じるおそれがある。法に基づく手続きである以上、全国で統一された運用がなされる必要がある。

 また、減免後の金額が事前に分からなければ、申請者は必要な金額を準備できず、許可時に混乱が生じる可能性がある。申請者が公平かつ予見可能な判断を受けられるよう、基本的な手続きを明確にし、省令又は全国共通の公表基準において規定すべきである。

 行政庁の決定に対しては不服申立ての機会を保障すべきであるから、手数料の減免に関する決定についても不服申立て手続きを導入すべきである。その際には、一定の独立性を担保した審査がなされるべきである。


その他の意見

 以上に加え、制度全体の運用に関して、以下の事項についても検討されたい。

政令、省令及びガイドラインの一体的な見直し
・政令において減免の対象及び範囲を十分に確保した上で、ガイドラインに具体的な適用基準を定めること
・政令によって免除対象が狭く限定され、ガイドラインの運用では救済できない事態を生じさせないこと
・政令、省令及びガイドライン、その他の施策の間に矛盾又は制度上の空白を生じさせないこと

経過措置の明確化
・施行日から一定期間の間に、在留資格の変更や在留期間の更新を要する者について、経過措置を設けること

積極的かつ多言語による周知
・手数料額、減免制度、納付猶予及び経過措置について、やさしい日本語及び複数の言語で周知すること
・入管窓口、入管庁ウェブサイト、外国人在留支援センター(FRESC)、自治体、支援団体及び企業等を通じて早期に情報提供を行うこと
・オンライン申請を利用できない者に対し、利用可能な申請・納付方法及び適用される手数料を明確に案内すること

制度の影響の把握及び見直し
・施行後1年以内に制度の影響を検証し、手数料額、減額・免除の範囲及び運用について、必要な見直しを行うこと


総括

 在留許可手数料は、日本において適法かつ安定的に生活するために不可欠な在留手続きに伴う負担であり、任意の行政サービスの対価とは性質を異にする。難民等にとって、適法な在留は、迫害や深刻な人権侵害のおそれがある国へ戻ることなく、日本で安全に生活を営むための法的基盤であるとともに、住居を確保し、学び、働き、医療や教育などの行政サービスを利用し、家族とともに地域で生活を築いていくための基盤でもある。そのため、経済的な理由によって適法な在留の維持が妨げられることのないよう、全額免除を含む実効的な負担軽減措置が確保されることを求める。また、永住許可についても、生活の安定や地域への定着を支える観点から、難民等の来日経緯が多様化するなかで、はじめから対象を狭めることなく、人道上の配慮を要する多様な人々への軽減措置も検討されることを期待する。

 難民等は、学び、働き、子どもを育て、地域社会とのつながりを築きながら、一人ひとりが主体的に生活を営み、日本社会の一員として暮らしている。こうした生活基盤を在留制度の側面から支えることは、本人の生活の安定にとどまらず、地域社会への継続的な参加を促し、自治体、企業、学校、支援団体など多様な主体が相互の信頼関係を築きながら、ともに共生社会を実現していくことにもつながる。

 在留管理は、適正な出入国在留管理を目的とする制度である一方で、国際的保護を必要とする人々の保護や、「外国人との共生社会の実現」に向けた政府の取組とも整合するものであることが求められる。政府はこれまでも、難民条約をはじめとする国際的な枠組みの下で難民保護に取り組むとともに、日本語教育、教育、就労、住宅、医療・福祉、地域における多文化共生など、様々な施策を進めてきた。今回の在留許可手数料の見直しについても、それらの施策との一貫性を確保し、難民等が安心して生活し、その能力を生かして地域社会の一員として活躍できる環境を支えるものとなることが望まれる。

 また、難民等や支援団体の知見を制度設計に反映させることは、制度の実効性と社会的信頼を高める上でも重要である。今回パブリックコメントや御意見箱などを通じて寄せられた意見については、その検討結果を適切に示し、継続的な対話を通じて制度の改善につなげていくことを求めたい。

 今回の見直しが、日本が国際社会の一員として難民保護の責任を果たすとともに、多様な人々が相互の信頼関係を築きながら、ともに暮らす社会を目指すという姿勢を国内外に示す前向きなメッセージとなることを期待する。

1 UNHCR ”Operational Guidelines on Complementary Pathways – UNHCR Operational Guidance on Complementary Pathways for Admission” https://www.unhcr.org/complementary-pathways-guidance/
難民支援協会「難民受け入れの新たな潮流『補完的な受け入れ』ーUNHCR駐日副代表インタビュー」https://www.refugee.or.jp/report/activity/2024/03/c-pathways/
2 令和8年6月29日付け石橋通宏議員質問主意書への政府回答[内閣参質221第59号](令和8年7月10日)
3 出入国在留管理庁「令和7年における難民認定者数等について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00058.html
4 国連難民高等弁務官事務所「難民認定基準ハンドブック」第28段落。
5 出入国在留管理庁「令和7年における難民認定者数等について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00058.html
6 2026年4月17日衆議院法務委員会政府参考人による答弁。
7 出入国在留管理庁「令和7年における難民認定者数等について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00058.html
8 UNHCR執行委員会結論「第24号(XXXII) -1981- 家族の再統合」ほか。



在留許可手数料の減額対象者のガイドライン案に対する意見

【PDFはこちら

2026年7月31日

特定非営利活動法人なんみんフォーラム

はじめに

 特定非営利活動法人なんみんフォーラム(以下「FRJ」)は、難民等(*)への支援に携わるNGO・団体の全国ネットワークである。本意見は、加盟団体の意見を取りまとめた上で、FRJが提出するものである。 

 出身国における迫害のおそれから逃れた難民等にとって、在留資格の変更や更新は、任意に選択して利用する行政サービスではなく、日本で安全かつ合法的に生活を継続するために必要不可欠な手続きである。過度な手数料負担によって在留が不安定化し、日本での生活の再建や自立が遅れれば、その影響は本人にとどまらず、家族、支援団体、雇用主及び自治体等にも及ぶおそれがある。相談支援、住居、医療、教育その他の社会福祉サービスへの負荷を含め、制度が社会全体にもたらす影響を考慮する必要がある。また、就労が認められていない者、安定した収入を得るまでに時間を要する者、短期の在留期間を反復して付与される者、家族全員について在留手続を行う必要がある者など、難民等には、手数料の支払能力に影響する多様な事情がある。

 本ガイドライン案は、経済的困難又は人道上の事情を抱える者に対する在留資格変更および在留期間更新の手数料の減額基準を具体化するものである。よって、その運用に当たっては、形式的な在留資格、来日経路又は公的給付の受給の有無によって対象を狭く限定するのではなく、申請者の経済状況や人道上の事情を実情に応じて対応できる仕組みとすることが肝要である。また、日本に暮らす難民等にとって、過度な負担とならない手数料額となることが望まれる。

 なお、手数料額、全額免除、在留期間3月以下の者の制度上の取扱い、未成年者の原則免除、世帯単位の負担上限及び永住許可手数料については、別途提出する「在留許可手数料に関する政令案及び省令案に対する意見」で述べる。以下では、ガイドラインにおける減額対象者の範囲及び判断基準について意見を述べる。

*「難民等」の範囲

 ここでいう「難民等」とは、FRJの加盟団体が支援する以下の方たちを含む。難民認定又は補完的保護対象者認定の申請者、これらの審査請求中の者、難民認定又は補完的保護対象者認定を受けた者、人道的な配慮を理由に在留を認められた者、本国情勢を踏まえて当分の間の在留を認められている者、第三国定住難民、補完的な受入れその他の経路により来日した国際的保護を必要とする者並びにその配偶者及び扶養家族等をいう。

 なお、本意見書での「補完的な受け入れ」とは、難民およびその他の国際的保護を必要とする人々が、国際的保護の必要性を尊重されながら、庇護国以外の国において就労、教育その他の機会へアクセスできるようにする移動の枠組みであり、難民の状況に配慮した柔軟性を備えたものを指す1。また、取り組みの主体について、官民を問わないものとする。


1. 国際的保護を必要とする者を、在留資格や来日経路にかかわらず対象とできる仕組みとすべき

該当箇所

ガイドライン案第2項全般

【意見】

 国際的保護を必要としている者は、難民認定又は補完的保護対象者認定に基づく「定住者」や人道配慮又は本国情勢を理由とする「特定活動」といった在留資格により滞在しているとは限らない。そのため、現在の在留資格、来日経路又は変更・更新する在留資格の種類のみを理由として、手数料減免の対象外とすべきではない。「その他人道上の配慮を必要とする者」を包括的な類型として追加する等、第2項の類型が限定列挙でなく例示列挙であることを明示すべきである。

 例えば以下のような者が含まれるところ、それぞれ次のような方法により、国際的保護の必要性を判断することが可能であると考えられる。補完的な受け入れの取り組みとして、政府によるシリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)や、パスウェイズ・ジャパンによるプログラム2により来日した者は、在留資格「留学」をもって在留していることが考えられるところ、プログラムの主催者等が発行するレター等により国際的保護の必要性を確認することが検討されよう。また、難民申請等を行わず、既に有する在留資格に基づく活動を継続している者もいる。このような場合であっても、在留資格の選択自体が国際的保護の必要性の有無を示すものではないため、NGO・弁護士・雇用主・就学先等が発行するレターにより保護の必要性が確認できるだろう。

 特に、週28時間の中でアルバイトをしながら生計を維持している留学生や、扶養家族が多い者にとって、手数料の値上げは生活に大きな影響を及ぼし、早期の経済的自立を阻害しかねない。

【理由】

 現案は、「特定活動」や「定住者」など、対象となる在留資格・手続きを詳細に規定しており、これ以外の在留資格で在留している者が、形式的な経路の違いによって対象外となるおそれがある。難民等の中には、既に有する在留資格に基づく活動を継続していることや、難民申請等を行わず、既に有する在留資格に基づく活動を継続している者もいる。また、補完的な受け入れは、国際的保護の必要性が尊重されながら、就労、教育その他の機会へアクセスできるようにする移動の枠組みであることに留意すべきである。このような者について、現在の在留資格のみを理由として手数料減額の対象外とすることは、人道上の理由を適切に判断するものとはいい難い。

 加えて、家族で異なる在留資格を有するなどで、第2項に定めた者のみを手数料減免の対象として、その家族が対象から除外された場合には、同一世帯の在留資格を維持するための費用が累積的にその世帯の負担となり、結果的に、第2項に定めた者に対する減額の効果も損なわれてしまう。

 JISRやパスウェイズ・ジャパンのプログラム等、留学生として来日した難民等の中には、日本語及び専門的能力を身に付け、卒業後に在留資格を変更した上で、日本での就労と経済的自立を目指す者がいる。学業から就労への移行期には、就職活動、転居、職業訓練等の費用が重なる一方、十分な収入や資産を有していない場合がある。このような者は卒業後、在留資格「留学」から就労系の在留資格(入管法別表第1の1又は2の上欄に規定する在留資格)へと在留資格変更申請をすることが想定されるところ、これらの申請は現案の対象となっていない。公的機関及び民間団体による取組を通じて日本が受け入れ、教育・日本語学習・就労支援等を行ってきた者が、自立に向けた移行期に、在留許可手数料の引き上げによって日本における生活が不安定になることは、これまでの受入れ及び定着支援の取組との整合性を欠くと言える。

 国際的保護の必要性という共通の背景を有しているにもかかわらず、来日経路や在留資格の違いのみによって負担軽減措置から除外されない運用とすべきである。


2. 公的給付を受給していないことのみを理由として対象外とすべきでない

該当箇所

ガイドライン案第1項(4)及び第2項全般

【意見】

 生活保護又は難民申請者等に対する保護措置を受けていることは、困窮を推認する資料の一つとして取り扱う一方、受給していないことのみを理由として減額対象外とすることは、困窮の実態を考慮できておらず、「生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者」の範囲として適切ではないと考える。

 よって、第1項(4)の「第2項(7)から(10)までのいずれかに該当する者に限る」との限定を削除すべきである。加えて、第1項(4)による個別判断を、第2項に掲げるすべての者及びこれらに準ずる者に適用すべきである。

 仮にそのような修正を行わない場合、生活保護又は保護措置を受給していない者であっても、同程度の経済的困難が認められる場合をどのように取り扱う予定か、示されたい。

【理由】

 現案では、第1項(4)括弧書きにより、一般的な個別判断が、人身取引被害者、施設入所児童、難病又は障害に関係する者等(第2項(7)から(10))に限られており、難民等については、実際の困窮状況を個別に判断することなく、生活保護又は難民申請者等に対する保護措置を受給していない限り、減免の対象とならない。

 しかしながら、生活に困窮する難民申請者等のすべてが保護措置を受けられるわけではなく、受給期間も限定され得る。加えて、保護費を申請してから受給開始まで一定の期間を要するため、在留資格変更又は更新の時点では受給者となっていない場合もある。たとえば、2025年度は、保護措置の申請者807人のうち保護措置を受けた者は518人で、保護措置を受けた者のうち申請から保護措置を受けるまでの平均期間は約50日、保護措置を受けた平均期間は12カ月である。保護措置は、難民認定又は補完的保護対象者認定の申請後に利用可能となる。そのため、難民申請と同時に特定活動への変更申請を行うことが一般的であるところ、保護措置の申請やその審査が終了していない場合がある。 また、そもそも保護措置を知らない場合や、保護措置の申請をこれから予定している場合もあるだろう。

 また、在留資格変更申請の結果として難民申請中に就労が認められたことを理由として、就労先や実際の収入を得る前に保護措置が終了されることがある。一方で、難民申請者等は、避難の必要性から移動を余儀なくされ、その移動が事前に計画されたものとは限らないため、来日前から日本での就労に向けた準備を十分に行うことは多くの場合困難である。また、日本の就職活動や労働慣行に関する情報や経験が十分でないこと、出身国での迫害や避難の経験によるトラウマ、日本語能力の習得機会や期間が限られていること等により、就労許可を得た後も安定した雇用につながるまでに時間を要することがある。 加えて、避難の経験や家族との離別等による精神的な負担、持病、地域や社会とのつながりの不足等、就労や生活に影響する様々な事情を抱えている場合もある。就労している場合であっても、十分な賃金を得られるとは限らず、パート、派遣労働、短時間労働等によって生活に余裕がない場合がある。生活を維持するために長時間の就労を余儀なくされることで、日本語学習や技能の習得、より安定した就労に向けた活動に取り組む時間を確保することが難しくなる場合もある。

 さらに、生活保護についても、難民等の中には、「永住者」等のより安定した在留資格への変更若しくは更新又は帰化申請(無国籍状態にある者の国籍取得を含む)や、避難によって分離された家族との再統合のための呼び寄せ手続き等への影響を懸念し、経済的に厳しい状態にあっても生活保護の受給を控える者もいる。

 公的給付に頼らずに自立を目指している難民等が、手数料の支払において公的給付を受けている者と比して不利な立場に置かれることは、「生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者」の範囲を適切に捉える上で課題がある。 上記で述べたように、同程度の経済的状況にある者であっても、制度の運用状況その他の事情により、生活保護又は保護費を受けている者と、受けられていない又は受けていない者がいる。 このような状況において、公的給付を受給していないことを、支払能力があることと同視すべきではない。


3. 未成年者及び世帯全体への影響を考慮すべき

該当箇所

ガイドライン案第1項及び第2項全般

【意見】

 減額の対象とならない扶養家族が多い世帯ほど世帯全体の負担が累積するため、申請者と同一世帯に属する配偶者、未成年の子その他の扶養家族について、第2項に(11)を新設して「人道上の配慮をする必要がある者」に含める等の措置を講じるべきである。特に、未成年者については在留資格の変更や更新の手数料を原則免除すべきである。

 特に、多子世帯、ひとり親世帯、障害や疾病のある家族を扶養する世帯等については、世帯単位の上限額を定めるなど、減額の必要性を積極的に認めるべきである。

【理由】

 原案では、中国残留法人等(第2項(1)エ)を除いて、手数料は申請件数を基準として各人に課される。扶養家族が多い世帯ほど、世帯全体の負担は累積的に増え、生活への影響が大きくなることを懸念する。

 未成年者は独自の支払い能力を有しないことが通常である。保護者に一定の収入がある場合であっても、複数の子どもの手数料を同時に支払うことによって、食費、住居費、教育費及び医療費等が圧迫されて日常生活に影響を及ぼす可能性がある。この点、親を伴わずに難民申請又は補完的保護対象者認定をする未成年者等も存在することにも留意すべきである。

 未成年者の手数料の原則免除及び世帯単位の手数料上限については、政令によって定めると共に、ガイドラインにおいても規定すべき事項である。特に、未成年者及び世帯への累積的な影響を積極的に考慮すべきである。


総括

 手数料の減額措置は、予め定められた限定的な類型に該当する者のみをその対象とする制度ではなく、手数料の負担が困難な者又は人道上の配慮を必要とする者について、個別の状況に応じた負担軽減を行うための措置であるべきである。

 そのため、在留資格、来日経路、公的給付の受給の有無をもって、一律に減額の対象外とすべきではない。国際的保護を必要とする背景、実際の支払能力、就労の可否、扶養関係及び世帯全体に生じる負担を適切に考慮できるガイドラインとすることが肝要である。

 形式的な要件によって、同様の困窮状況又は国際的保護の必要性を有する者の間に不合理な差が生じることなく、必要な者が手数料の減額措置を受けることができるよう、対象類型を包括的に定めた上で例示列挙とし、その他の場合にも減額対象とできる余地を残すべきである。

 また、申請者が予見性をもって各種手続きを行えるよう、減額措置において考慮される事情や判断の基本的な考え方を示し、制度の透明性及び適正な運用を確保する必要がある。

1 UNHCR ”Operational Guidelines on Complementary Pathways – UNHCR Operational Guidance on Complementary Pathways for Admission” https://www.unhcr.org/complementary-pathways-guidance/
難民支援協会「難民受け入れの新たな潮流『補完的な受け入れ』ーUNHCR駐日副代表インタビュー」https://www.refugee.or.jp/report/activity/2024/03/c-pathways/

2 パスウェイズ・ジャパン「教育パスウェイズについて」https://pathways-j.org/educationpathways

以上

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